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区政運営4年を振り返り、次の区政への決意を表明いたしました。区長施政方針説明(2022年2月10日)

令和4年(2022年)第1回中野区議会定例会の「区長施政方針説明」にて、この区政運営4年を振り返りながら、私の所信を表明させていただきました。

※中野区の了承を得て、以下の私の原稿を転載しております。

www.city.tokyo-nakano.lg.jp

区長施政方針説明(2022年2月10日)

令和4年第1回中野区議会定例会の開会にあたり、本年の区政運営に臨む、私の所信と予算の概要を申し上げ、議員各位、並びに区民の皆さんにご理解とご協力を賜りたいと存じます。

1 はじめに

新型コロナウイルス感染症との闘いが始まってから2年。デルタ株に比べ約70倍の速度で感染するといわれるオミクロン株の感染が急激に拡大し、全国的にまん延防止等重点措置が適用されています。そうした中、患者の命を守るべく力を尽くしている医療従事者をはじめとしたエッセンシャルワーカーの皆さん、そして全ての関係者の方々に、心より御礼申し上げます。

中野区は、第5波を教訓として、感染拡大時における保健所業務の応援体制やBCPの一部見直しなどを検討・調整し、第6波以降の感染拡大に備えてきました。今後もワクチンの3回目接種を前倒しして迅速に進める一方、刻々と変わる感染の状況や国の方針に対し、専門的知見に基づき適切に、また柔軟に対応し、区民の命や生活を守っていくことに全力を尽くしてまいります。

経済は今年ゆるやかな回復が予測されていましたが、オミクロン株の感染拡大により、先行きは一層不透明になったと言わざるを得ません。

また、今のところ、23区全体同様、中野区の人口も微減しています。

そういった状況下であるからこそ、私は、感染症の長期化により増加している生活困窮者、教育格差が拡大したといわれる子どもたちへの支援策を講じる一方、町会・自治会や区内事業者が活動・事業を力強く再開できるようバックアップし、活力と経済を回復させていく決意です。

そして、さらにその先へ。

子どもたちと中野の未来に向けて、超回復を目指して取り組んでまいります。

2 区政運営4年を振り返って

私が区長に就任した4年前、区政の主役は区民の皆さんであり、区民、事業者や団体と区が力を合わせて、様々な課題に対応していかなければ、豊かな地域社会を築くことはできないと申し上げました。

そして、その前提としたのが、区民の皆さんとの対話を徹底すること、そして、現場主義で政策を立案し実行することでした。

区民と区長のタウンミーティングでは、時期や方法を工夫しながら対話を重ねてきました。その一環として実施している「子育てカフェ」では、子ども関連施設で、子育て中の方を中心にワークショップ形式で濃密な意見交換を行ってきました。ここでの声を受け、公園の禁煙化や一時預かりの拡充などを実現しました。さらに、子ども関連団体や介護・福祉の事業所などの現場に赴き、関係者の実感を伺うとともに、現場の実状や課題を肌で感じてきたところです。

 

対話の前提としては、区民の皆さんに区政の情報が届いていることが必要です。このため、区の情報発信力向上には特に力を入れて取り組んできたところです。

こうした姿勢の下、時には立ち止まって、当初の想定や方針、方法を見直しながら区政を進めてまいりました。 区長就任以来の主な取組とその成果を申し上げます。

(1) 新型コロナウイルス感染症への対応

新型コロナウイルス感染症への対応として、新型コロナウイルスワクチン接種担当や対策チームを設置して、危機管理等対策会議で対応を協議、決定し、ワクチン接種やPCR検査、入院調整や自宅療養者の健康観察などの諸課題に迅速に対応してきました。

一例を申しますと、接種券を速やかに区民に発送したことにより、区の集団接種会場や個別での接種だけでなく、自衛隊の大規模接種会場でも、区民の方が早期に接種できる環境を整えることができ、そのことが区民のワクチン接種を促進することにつながりました。

また、中野区医師会、中野区薬剤師会などのご協力により、PCR検査やワクチン接種を迅速かつ円滑に進めることができたほか、自宅療養者への配薬や服薬指導を実施することができました。

その他の主な取組として、自宅療養者への食料品等の配達、全庁的な応援体制の構築による保健所の人員体制の強化、小・中学校でのオンライン授業など児童・生徒の学びの継続の保障、事業者への緊急経済融資やプレミアム付商品券事業、キャッシュレス決済推進事業など、経済対策も速やかに実施し、区内の産業全体を支援してきました。

このように区が未曽有の緊急事態に適時、適切に対応できたのは、区議会の皆様のご理解とご協力の賜物と深く感謝を申し上げます。

他方、財政運営の面では、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が世界経済に対して深刻な影響を与え、リーマンショックの時と同様かそれ以上に深刻な歳入減が想定されました。この事態を重く見て、事業の休止、延期、見直しや経常経費の削減努力など歳出の抑制に努めてまいりました。

令和3年度当初予算においては、特別区税、特別区交付金一般財源について、前年度からの大幅な減を見込みましたが、決算では、前年度を超えることが想定されます。しかしながら、オミクロン株による感染者数の急増により、景気の先行きは不透明であると認識しています。

歳入減少の懸念とともに、現在、区は扶助費や施設の更新経費の増加などの課題を抱えており、緊張感を持った財政運営を求められています。

財政的な危機感をきっかけとして取り組んだ構造改革ですが、持続可能な区政運営を実現するためには、健全な財政運営を図りつつ、デジタルトランスフォーメーション(DX)による行政サービスの変革や業務の効率化など、費用対効果を高めていく区政の体質改善を図っていかなければなりません。

喫緊の行政課題に果敢に挑戦しつつ、行財政の構造改革を今後も積極的に進めていく決意です。

(2) 中野区基本構想の改定と新たな中野区基本計画の策定

区民の皆さんとともに検討を進め、令和3年3月に「中野区基本構想」を改定しました。

中野区基本構想は、中野区に住むすべての人々や、中野のまちで働き、学び、活動する人々にとって、平和で、より豊かな暮らしを実現するための共通目標として、また、区が区民の皆さんの信託に基づき、区政運営を進める上で、最も基本的な指針となるものです。

「つながる はじまる なかの」を掲げ、10年後に目指すまちの姿を明らかにしました。

 

基本構想を実現するための、5年間の総合計画となる「中野区基本計画」を策定しました。さらに、基本計画の施策展開にあたり、区有施設整備を中・長期的な財産経営の観点から取りまとめた「中野区区有施設整備計画」を策定するとともに、これらの計画の下支えとなる行財政の構造改革を推進するため、「中野区構造改革実行プログラム」を策定し、3年を目途に集中的に実施する取組を明らかにし、着手しました。

(3) 子育て先進区の実現に向けた主な取組

 

合計特殊出生率の向上や子育て家庭の定住を図り、子どもが健やかに育ち、子育てする上での必要な環境を整え、子どもと子育て家庭の満足度を向上するため、次の取組を進めました。

子ども政策を進めていく上での理念となる子どもの権利に関する条例制定に向けた検討を進めてまいりました。

不妊検査等助成及び特定不妊治療費助成を実施。

0歳児対象のブックスタート事業を開始するとともに、図書館の乳幼児図書を充実させました。

さらに産前産後家事支援を新設するなど、妊娠・出産・子育てトータルケア支援を実施しています。

様々な保育需要に応えるため、民間による認可保育所の新規開設支援や認可外保育施設の認可化や私立保育園の建替え支援などにより、待機児童数は25人(令和3年4月1日現在)まで減少するとともに、保育の質のガイドラインの策定などを行い、保育環境や保育の質が向上しました。

児童館の全廃を見直し、新たな機能を備えた児童館を区立保育園・幼稚園とともに一定数存続させる方針を示した一方、民間と連携した乳幼児親子の居場所づくり、中高生の交流・活動支援の拠点づくりの検討を進めました。

令和3年11月に子どもやその家族に関するあらゆる相談ができる「子ども・若者支援センター」を開設するとともに、本年4月に開設予定の児童相談所の設置準備を進めました。

子どもと子育て家庭の実態調査を実施し、その調査結果などを踏まえながら、子どもの貧困対策に着手しました。

公園の利便性と魅力を高めるために、遊具の安全対策と遊具改修を実施しました。

区立小・中学校においては、ICT環境や体育館などの冷暖房化、トイレの洋式化などの環境改善を進めるとともに、小・中学校での英語教育を充実しました。

いじめ対策としてSNS相談アプリ(Stop(ストップ) it(イット))を導入しました。

そして本年2月1日に、蔵書数17万冊、子どもフロアやビジネス・コミュニティフロアがある中野東図書館を開設したところです。

(4) 安心して地域で暮らし続けるまちの実現に向けた主な取組

 

すべての区民が地域で安心して暮らし続けることができるよう、包括的な支援体制の充実を図り、以下の取組を進めました。

まず、地域での見守り支援を充実するため、大規模な実態調査を実施し、その結果を踏まえて、地域や団体、事業者とともに「中野区地域包括ケア総合アクションプラン」の検討を進めました。

認知症サポーターやサポートリーダーを養成するとともに、認知症の方の地域での居場所づくり支援を進める一方、認知症高齢者等個人賠償責任保険事業を開始しました。

障害者の支援を充実するため、障害者相談支援事業所のアウトリーチ機能を高めるとともに、障害者福祉手当の対象を精神障害者に拡大しました。

「中野区手話言語条例」及び「中野区障害者の多様な意思疎通の促進に関する条例」を制定するとともに、やさしい手話教室の実施などを行いました。

男女共同参画と多文化共生の推進については、人権と多様性を尊重するための条例制定に向けた検討を進めるとともに、性的マイノリティ対面相談パートナーシップ宣誓を開始しました。

AI多言語通訳システムや区報10か国語対応アプリの導入、やさしい日本語の活用を進めました。

犯罪被害に遭われた方に対しては、「中野区犯罪被害者等支援条例」を制定し、区による支援を充実しました。

犯罪や非行、再犯を防止するため、「中野区再犯防止推進計画」を策定し、普及啓発と保護司の活動を支援しました。

 

住まいの確保に配慮が必要な方を支援するため、令和3年3月に区と民間事業者等による居住支援協議会を設立しました。

東京都の支援対象とならない新型コロナウイルス感染症による短期間の自宅療養者等に対しては、食料品等の配布を実施しています。

(5) 区民とともに進めたまちづくり

区民の暮らしや価値観が多様化している中で、まちの価値を創出し、魅力を向上するため、以下の取組を進めました。

中野四丁目新北口地区まちづくり方針の集客交流施設として最大1万人収容のアリーナの計画を検証した結果、最大で7,000人規模の大ホールに見直し、音楽、サブカルチャー、スポーツ、地域文化の4分野を中心に興業を誘致できるものにしました。中野サンプラザのDNAを継承した、新たなシンボル拠点を整備してまいります。

中野区は拠点施設整備施行予定者と基本協定を締結し、令和10年度の竣工に向けて、整備を着実に進めています。

中野駅西側南北通路・橋上駅舎等事業を進展するとともに、再整備する中野駅周辺におけるエリアマネジメントを実施するため、エリアマネジメント協議会の設立に向けて準備を進めました。

西武新宿線沿線の新井薬師前駅沼袋駅周辺まちづくりでは、都市計画道路の整備に向けた用地取得や市街地再開発事業の検討を進めました。

西武新宿線沿線連続立体交差事業(野方以西)の早期着工を西武新宿線踏切渋滞解消促進期成同盟などを通じて東京都や関係機関に要望するとともに、野方駅都立家政駅鷺ノ宮駅周辺のまちづくりの検討を進めました。

区の防災性を向上するため、大和町地区、弥生町三丁目地区で避難道路の整備など防災まちづくりを進めるとともに、若宮地区で防災まちづくり協議会の発足に取り組みました。住宅等の耐震化促進事業も実施しています。

災害時の避難所において、妊産婦など配慮が必要な方には医療機関等との連携により対応し、ペットの同行については、屋外に受け入れスペースを設置することとしています。

令和2年10月に平和の森公園内に、ネーミングライツを活用して、キリンレモンスポーツセンター(中野区立総合体育館)を開設しました。

中野区のイメージアップを図るシティプロモーションでは、「ナカノミライプロジェクト」と称し、区内事業者と区によるワークショップを開催し、中野を元気にするプランを企画・実施。

区内塗装業者とアーティスト、JR中野駅、区立鷺宮小学校と区が連携して、中野駅北口駅前広場と区立鷺宮小学校体育館にミューラル(壁画)を制作し、新たな地域資源としてPRしています。

 

区における環境負荷を低減するため、太陽光発電システムと連携した蓄電システムの導入支援を実施しました。区内にシェアサイクルを導入したことで、環境負荷の低減への効果も期待されます。

 

さらに、「第4次中野区環境基本計画」を策定するとともに、令和3年10月に「中野区ゼロカーボンシティ」を宣言し、区民や事業者とともに、二酸化炭素排出量削減など取組を進めています。

(6) 区民と向き合う区役所へ転換

ボトムアップ型の区政への転換を図り、区民と向き合う区役所づくりを推進するため、以下の取組を進めました。

広報アドバイザーを導入し、区報をリニューアルするとともに、SNSによる発信を増やすなど、区民に届く区政情報の発信力強化に取り組みました。

 

オープンデータを推進するとともに、政策企画会議の概要や予算編成過程の公表を実施し、区政の透明性を高めました。

一方で、公共サービスの質の向上と労働者などの適正な労働条件を確保するため、公契約条例の制定に向けた検討を進めました。

新区役所の整備については、令和6年5月の移転に向けて、区の業務改善とDXを進めています。

職員育成の観点から、地域に飛び出し、区民との対話や説明を積極的に行う職員が評価されるよう、制度を見直すとともに、職員提案制度を改善しました。

区は、改定した基本構想で示した10年後に目指すまちの実現に向けて、基本計画などを策定し、区政は力強く前に踏み出しました。生活や事業に困窮した方たちを支えるとともに、子どもや子育てを、そして中野で活動する人たちを応援していくことが中野の未来を創ると確信しています。

3 中野の今、そして未来のために

私は、10年後に目指すまちの姿を示した中野区基本構想は、羅針盤だと考えています。

社会や経済などの状況の変化は不可避ですが、窮地のときこそ、課題や物事の本質が浮き彫りになってきます。常に基本構想に立ち戻り、10年後に目指すまちの姿を実現するためには、どういった方向性でどのような取組が必要かつ効果的なのかを考えていきます。

「唯一生き残ることができるのは、変化に対応できたもの」という言葉があります。

基本構想の実現に向けて、対話の徹底と現場主義に基づき、区としてこれまでの方針や取組を変更する判断に至った場合は、区議会、そして区民の皆さんに対して、経緯や理由を丁寧かつ明確に説明し、区民の皆さんや区議会の声に十分耳を傾けながら、柔軟な対応を図ってまいります。

国や東京都の動向はもとより、技術革新や新たなサービスなどへの感度を高め、従来の慣行や既成概念にとらわれることなく、区民本位の立場で区政運営に努めていく所存です。

区民や事業者の皆さんは地域の課題を区と一緒に解決するパートナーです。

区民や事業者の皆さんとの協働・協創を一層図り、基本計画で示した3つの重点プロジェクトによる取組の実効性を高めていきます。

ウィズコロナである今を乗り越えるための取組を工夫して実施するとともに、基本計画で定めた3つの重点プロジェクトを今後の区政運営の3本の柱として、ポストコロナを見据えた政策を推進してまいります。

(1) 第一の柱

子育て先進区の実現に向けて

国は令和5年度に子ども家庭庁の創設を目指していますが、子どもやその家庭への有効な支援は、真のニーズや課題を把握している基礎的自治体の政策があってこそだと考えています。

子ども・子育てを応援し、誰一人取り残さない教育を実現するための取組は、子育て先進区を目指す中野区が国や東京都をリードしていく決意です。

現在、検討を進めている子どもの権利に関する条例に基づき、子どもの視点に立った、子どもの本音を踏まえた、切れ目ない対応や支援を実施してまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の長期化により、貧富の格差が大きくなったことを実感しています。子どもの貧困対策を充実する一方で、子どもを分断・孤立させずに、教育機会や体験の格差の解消に努めてまいります。

子どもや子育て家庭に対するセーフティネットを強化

児童虐待については、未然防止を図るための取組を充実させるとともに、子ども・若者支援センター内に設置する児童相談所において、子どもやその家庭を支援するため、総合的かつ迅速に対応を行う体制を強化します。

生活上の困難を抱えている家庭の子どもを支える環境づくりとして、ひとり親家庭支援の充実を図るとともに、ヤングケアラーの支援に努めてまいります。

子育て・子育ち環境の質を向上

子どものニーズに合わせた屋内外の遊び場を充実していきます。

公園の利用ルールの見直しにより、子どもが遊びやすい環境にしていくことを考えています。また、保育園の空き状況などの情報が入手しやすい環境づくりを進めます。

そして、発達の課題や障害のある子どもへの教育的ニーズに応じた指導の支援や医療的ケア児の支援を推進し、インクルーシブ教育のより一層の充実を図ります。

地域全体で子育てを応援するための体制づくり

子ども関連団体で活動している方から「子育て支援の活動は、子どもとその親を助ける一方向だけではなく、活躍できるステージを与えてもらっているという双方向のものであるといった趣旨の話を伺い、感銘を受けました。

多様な主体の参画による子どもの育成活動を活性化していきたいと考えています。

そのために、子育て関連団体に対する支援を充実するとともに、区との協働・協創やネットワークづくりを進めます。

また、若者が活躍できる交流や活動の機会を充実するため、中高生の意見表明や自発的な活動支援などの取組を実施していきます。

(2) 第二の柱

地域包括ケア体制の確立に向けて

 

人生100年時代において、ひとりでも安心して暮らし続けられる中野にしてまいります。

現在検討を進めている「中野区地域包括ケア総合アクションプラン」を策定し、このプランに基づき、力強く取組を進めていきます。中野は、都市部における地域包括ケアの一つのモデルとなることを目指します。

生きづらさを抱える人、個人や世帯の複雑化する生活課題を解消するために、重層的支援の体制の強化にも取り組みます。制度ごとの縦割りの支援体制では、複数の課題を同時に抱える対象者は、制度に基づく支援を受けられないリスクがあると認識しています。

属性や世代を問わず、包括的に相談を受け止め、単独の相談支援機関では解決が困難な事例は、事業者や各種機関との連携により解決を図っていく考えです。

地域ケア会議の開催を中心として、連携力を高めていきます。

また、新型コロナウイルス感染症の長期化により、増えている生活困窮者を支援します。

区民の多様な課題を受け止め、解決につなげる体制づくり

支援を必要とする人への相談・コーディネート体制を充実します。

重層的支援体制強化の一環として、中野区のパートナーである社会福祉協議会との協働によりひきこもり支援を充実します。地域ぐるみで課題を解決するための機能を強化していく考えです。

また、地域包括ケア体制の確立に向けて、区、事業者・団体、大学などの連携力を高め、さらに共同事業の企画・実施などにつなげていきたいと考えています。

社会とのつながりの中で一人ひとりに寄り添った支援

すべての人の意思と権利を守る地域づくりを進めるとともに、支援が必要な人の生活の安定と自立を支える基盤づくりに取り組みます。

支援が必要になっても孤立せず、住み慣れた地域で安心して暮らし続けられるよう、住まい、医療・介護、生活支援などのサービスが連携して提供される環境づくりを進めます。

すべての人に居場所があり、無理なく見守り支えあう地域づくり

地域における公益的な活動の継続・再開を支援します。

新型コロナウイルス感染症の長期化により、区や民間で多くの事業がオンラインに移行する中、デジタルデバイドが拡大したとの指摘もあります。ご高齢の方のICTの活用を支援するための取組も検討してまいります。

また、見守り・支えあい、支援に取り組む主体や手法の充実を図ります。

その一環として、ネットワークづくりなどの支援とともに、区民一人ひとりがそれぞれの関心やスキルに応じた多様な社会参加を促進したいと考えています。

さらに、ジェンダーギャップやLGBT差別を解消するための取組を進めます。

(3) 第三の柱

活力ある持続可能なまちの実現に向けて

活力ある持続可能なまちの実現に向けて、多様性を認め合い、様々な主体による連携・協力によりソフト・ハードの両面でまちをデザインしていきたいと考えています。

新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、厳しい状況にある区内中小企業の経営を支援します。また、チャレンジなくして成長なし。感染症の影響が大きい今だからこそ、事業活動の活発化を図ります。

中野駅周辺のまちづくりは、駅とまちをつなぐ、歴史と未来をつなぐまちづくりとも考えています。

ミューラルをはじめ、文化・芸術を育むエリアに。そして、その発信拠点にしてまいります。

また、防災まちづくりの推進においては、現在、世界や日本において地震が頻発しています。東京都は首都直下地震の被害想定の見直しを検討しています。その検討結果も踏まえつつ、区として地震への備えを着実に進めてまいります。

2050年にゼロカーボンを実現するためには、産業構造、暮らし、地域のあり方全般にわたる改革が必要になると捉えています。「2050ゼロカーボンシティなかの」の実現には、区民や事業者の皆さんとの協働・協創が不可欠だと考えます。

そして、以上の取組により、経済を回復の軌道に乗せていきたいと考えています。

地域経済の回復とまちのブランディングによる産業の活性化

区内事業者の継続的な事業活動を支えるため、中小企業や商店街の個店ニーズを捉えた支援を進めます。

キャッシュレス化を進めることをはじめ、商店街の魅力と利便性の向上を図ります。

区内には能楽などの伝統芸能からアール・ブリュット、アニメ、サブカルチャーまで幅広い文化が存在しています。多様な文化的背景を持った様々な人々が暮らし、活動しています。

こうした多様性を中野区の強みと捉え、地域資源を活用したブランドづくりを進めるとともに、ミューラルなどの新たな地域資源を発掘し、その魅力を発信していきます。

活力の再生と創出に向けたまちづくり

中野駅周辺において、エリアマネジメントの仕組みを構築し、新たなにぎわいを創出するとともに、交通結節機能の強化と回遊性・防災性の向上を図ります。

文化・芸術と産業が融合した新しい魅力の創造を目指したいと考えています。

西武新宿線沿線では、まちの安全性・快適性・利便性の向上を図りながら、各地区の商店街の活性化を図っていきます。

脱炭素社会の実現を見据えたまちづくり

再生可能エネルギーの活用や住宅の省エネルギー化、食品ロス削減の取組をはじめ、生活のあらゆる場面における環境配慮行動を促し、環境配慮型のライフスタイルへの転換を進めていきます。

区は、区有施設やあらゆる行政活動における環境負荷を低減することを率先して取り組みます。

さらに、景観条例をつくり、区が景観行政団体となって、区内の緑や河川などの自然環境、歴史的・文化的な景観、にぎわいなどまちの個性を活かした景観まちづくりを進めていきます。

・・・

以上の3つの柱を進めるに当たっては、例えば、子どもの体験やひとり親家庭支援と、環境学習を結び付けるなど、施策や事業を組み合わせ、それぞれのネットワークを結びつけるなどの工夫が必要であり、その相乗効果は大きいと考えています。

また、3つの柱を進めることは、SDGsの達成につながるものです。

中野区はその推進役になる一方、SDGsで目指す最終目標(ゴール)の守人(もりと)となり、「誰一人取り残さない」社会の実現に寄与していく考えです。

(4) 3つの柱を進めるために(持続可能な区政運営の実現に向けて)

3つの柱を進めるために、次の3点に取り組みます。

構造改革の推進、中野区版DXの推進

区政の構造改革は、財政体力を高めることばかりが注目されがちですが、社会や経済などの状況変化が不可避な中でも新たな行政需要に応じた効率的かつ効果的なサービスを提供し、基本構想で描くまちの将来像を実現していくために、取組を進めていきます。

DXは「デジタル技術が人間の生活のあらゆる側面に影響を及ぼすことによる変化」と定義されています。

DXの本質は、データとデジタル技術を活用して、ニーズをもとに、サービスなどを変革するとともに、組織、プロセス、組織風土を変革する経営戦略の一つであると捉えており、構造改革の柱の一つであると考えています。

「新しき酒は新しき革袋に盛れ」。

新しい思想や内容を表現するには、新しい形式が必要であるとの認識の下、新区役所整備を契機とした、中野区版のDXを進めていきます。

情報発信力の強化と広聴機能の充実、危機管理力の向上

新型コロナウイルス感染症の長期化、大型台風の接近など危機が増えていることなどから、リスクの情報収集と区民に届く情報発信力の重要性が一層高まっています。

一方、在宅で過ごす時間が増えたことにより、区に寄せられる意見や要望が増えており、これに適切に対応するとともに、業務の改善や施策・事業の立案につなげる必要があると考えています。

これまで以上に、多様な手段による効果的な情報発信力を高める一方で、区への問合せや相談が増加していることへの対応に取り組むことや、区民と区長のタウンミーティングの実施方法を工夫することにより広聴機能の向上に努めます。

また、区の危機管理は、災害対応からマルチインシデント対応へ。様々な危機事象に備えることが必要です。

平常時において危機に備える一方で、組織としてのレジリエンス(困難な状況においてもしなやかに対応する能力)を高めることにも取り組んでまいります。

職員の育成・多様な人材の確保

 

構造改革やDX、危機管理力の向上は、職員の成長があってこそ実現できるものだと考えています。

そのためには、まず、地域や現場に出て、区民、事業者・団体との協働・協創ができる職員、失敗やミスを恐れず、またそれを生かす職員を育成していきます。

一方、多様化・高度化している区政課題への対応には、専門性を有する多様な人材の確保が不可欠です。

プロフェッショナル人材と区職員がともに業務にあたることで、職員の意識改革とスキルアップにつながると考えています。これらを通じて、ボトムアップによる政策立案と実行を推進していきます。

プロフェッショナル人材を登用するためには、テレワークの推進などが必要です。こういった環境整備も新庁舎移転を見据えて進めていきます。

4 令和4年度予算案の概要

次に本定例会において、ご審議いただく、予算案の概要を述べさせていただきます。

予算の特徴

令和4年度予算案は、新型コロナウイルス感染症との闘いを乗り越え、活動を力強く再開し、未来へつなげる予算とするため、新型コロナウイルス感染症対策と様々な活動の支援策、中野区基本計画で掲げる重点プロジェクト、中野区区有施設整備計画に基づく施設整備、中野区構造改革実行プログラムに基づく取組、新庁舎移転を見据えた業務改善等の5点を重点項目として編成しています。

予算規模

一般会計は、1,579億3,500万円で、前年度比7.3%増。

特別会計は、644億7,600万円で、前年度比0.2%増。

全会計合わせまして、予算総額は、2,224億1,100万円で、前年度比5.1%増となっております。

一般会計の歳入予算は、学校施設整備費が減少したこと等から、投資的事業の財源である特別区債は減少しました。一方で、納税義務者数や所得の増加による特別区税の増や特別区交付金地方消費税交付金の増加を見込んだほか、中野駅周辺地区の市街地再開発事業関連経費や教育・保育施設給付費等の増に伴い、国庫支出金等が増となりました。

次に歳出では、学校施設整備、区画街路第3号線の整備、区立保育園民営化整備、児童相談所設置準備等の投資的経費が減となったほか、民間保育施設の新規開設支援や小中学校新校舎の移転準備経費等が減となりました。

一方で、中野駅周辺地区の市街地再開発事業の進捗による経費の増や教育・保育施設給付費、子ども・若者支援センター、児童相談所の運営経費、区役所新庁舎整備に係る経費、インターネットデータセンターの構築経費、新型コロナウイルス感染症対策経費や新庁舎移転を見据えた業務改善等の経費が増となったほか、基金積立金等が増加し、前年度を上回る予算となりました。

なお、予算案の詳しい内容については、提案の際に説明いたします。

5 むすびに

不確実性の時代に対応する区政運営を

令和4年度は、区制施行90周年という節目を迎えます。また、憲法擁護・非核都市宣言40周年でもあります。区民や区議会とともに歩んできた歴史を振り返り、さらに前進させていく年次となります。

「雨だれ石を穿つ(うがつ)」「細き流れも大河となる」。

基本計画に基づき、一つ一つの取組を着実に実施し、区政を粘り強く進めていく所存です。

さらなる歩みとして、多様性を尊重し、様々に意見を交わしながら、区民、事業者・団体と区が協働・協創し、「チーム中野」で区政を運営してまいります。

それがイノベーションにつながっていく。

これが「ナカノスタイル」だと思っています。

新型コロナウイルス感染症をはじめ、先行きの見通しが立たないことや状況が変わることが今の社会ではいわゆる“普通”の感覚として捉えられています。この変化に柔軟に、また「スピード感を持った対応」ではなく、「スピーディな対応」を行ってまいります。

次なるステージへ

私にとって、中野のまち、人への想いを一層強くしたこの4年でした。

新型コロナウイルス感染症の流行により改めて気づかされたことは、人と地域の大切さ、そして、日常のありがたみだと思っています。そして、この間、現場や区民の皆さんから様々なご意見や切実な思いなど多く伺ってきたところです。

 

それらの思いを受け、私は、愛する中野を、子どもたちが健やかに成長し、区民の皆さんが安心して暮らし続け、様々な人々が活躍することができるまちにしたいと強く願っています。

区長の任期は6月で終了しますが、引き続き区政という重責を担うことに全力で臨む決意を新たにいたしました。皆様のご判断を仰ぎたいと存じます。

以上、区議会並びに区民の皆様のご理解とご協力をお願い申し上げ、施政方針説明といたします。

酒井直人が目指す中野(政策)

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区民と進めた1期4年の主な取り組み

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酒井直人プロフィール

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